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これまでの欧米での脆弱X症候群のスクリーニングの結果では、脆弱X症候群の発生頻度は糟神遅滞男児のなかで2−6%と報告されている8)−13)。日本では、Hofsteeらは2.4%で発症頻度は欧米同様に高いと報告しているが14)、一方Nanbaらは0.8%と発症頻度は低いと報告しており15)、日本における発症頻度は確立されていない。
今回、我々は、精神遅滞男児のなかでも、特に脆弱X症候群である可能性が高いと考えられる家族性精神遅滞を対象としてスクリーニングを行ったが、46名中、FRXAの異常が1名検出されたのみで、日本における脆弱X症候群の発症頻度はNanbaらの報告同様、低いと推定された。このような発症頻度の差は、日本と欧米では、その遺伝的背景として、脆弱X症候群遺伝子上のCGG/GCCリピートの安定性の違いが存在すると推定され、興味ある所見である。また、日本国内においても、地域によって発症頻度が異なっている可能性も考えられ、地域的な発達障害の医療、療育に対する取り組みの面からも興味ある結果であり、さらに広範囲を対象としたスクリーニングが必要である。

 

 

 

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